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第9回 石黒美幸さん

石黒美幸さま

第9回のOGインタビューは、弁護士として企業法務に携わっていらっしゃる石黒美幸さんにお話をうかがいました。「為せば成る」という信条をお持ちの石黒さんに、具体的な将来のイメージを持ち続ける事の大切さを教えて頂きました。

略歴
昭和58年 一橋大学法学部入学
昭和63年 司法試験合格
平成元年 一橋大学卒業
平成3年 弁護士登録(東京弁護士会)
常松簗瀬関根法律事務所入所
平成11年 常松簗瀬関根法律事務所パートナー
平成12年 常松簗瀬関根法律事務所と長島・大野法律事務所との合併により、長島・大野・常松 法律事務所のパートナーとなる(現在に至る)
平成16年 米国コロンビア大学ロースクール客員教授(秋学期)
平成18年 ソネットエンタテインメント株式会社社外取締役(現在に至る)

専門分野
資本市場での資金調達を中心とした国内外の金融取引及び上場会社の開示

将来を決めた学生時代

高校時代から、自分が使うお金は自分で稼ぎたいと思っていた。最初から弁護士になりたいと思っていたわけではなかったが、進路の幅が広がると思い、法学部を選んだ。部活は高校・大学ともに軟式テニスをやっており、大学3年生の秋まで打ち込んでいた。

大学は6年生までいた。本来就職する年は、男女雇用均等法の適用2年目だった。施行直後であったこともあり、企業もどのようなことを女性である自分達に期待しているのか不明確であり、結婚・出産も視野に入れた上での長期的な見通しが立たなかったため、就職の道は選ばなかった。仕事はずっと続けていきたいと思っていたし、転職が今のように普通のことではなかった当時、一旦会社勤めをして辞めて、また就職するというのは大変だろうと考えた。一方、資格を持っていたほうが社会の変動や、ライフステージの変更にも耐え得ると考えたため、4年生の時に資格取得を目指すことを決めた。4年生、5年生(休学)の間に勉強、6年生で合格。当時、司法修習が2年間と定められており(現在は1年間)、司法研修所で研修期間を経たのち、26歳の4月に弁護士となった。


企業法務という仕事

弁護士の仕事は大雑把に言って民事事件と刑事事件とに分かれるが、民事事件には個人を対象とするものと、法人を対象とする企業法務があり、私は後者である企業法務が専門分野である。企業法務においては、所内においてもクライアントとの関係においても男女差別がないと言われていた。一方、中小企業や個人相手だと、「女の弁護士より男の弁護士がいい」、「なんだ、女か」というようなことを普通に見聞きする時代だった。そこで、男女差別がないと言われていた企業法務の方が楽しく働けると思い、そちらを選んだ。実際に男女差別は全く認識したことはなく、女性であるということで嫌な思いをしたことは一度もない。また、結果としては、業務内容は厳しいがそれだけ達成感のある仕事につけたと思う。

最初に就職した事務所が2000年に他の事務所と合併し、長島・大野・常松法律事務所となり、現在弁護士が300人強いる。最近は10人、20人とチームを組んで担当しないと終わらない大型案件が非常に増えているため、企業法務を取り扱う法律事務所の規模が大型化する傾向にある。50人もいれば大きな事務所だと言われていた15年前と比べると、約6倍の規模になっている。  
現在の事務所も、かつては1年に1、2人しか採用していなかったが、事務所の大型化にともない、直近では40人前後を採用。だいぶ時代が変わってきた。

専門は金融で、上場企業が資金調達する際のサポートがメイン。上場企業の開示についても、アドバイスしている。英語と日本語を使って、様々な書類を作成する。企業が債券・社債や株を発行する際の数多くの書類の作成に関与し、法律意見書を作成する一方、金融とは少し毛色の違う株主総会の指導なども行なっている。裁判所に出向くということはほとんどないので、皆さんがテレビで見るなどして想像している弁護士とはまったく違う仕事をしている。

企業法務に携わる場合には、金融にせよM&Aにせよ、財務諸表が読めなくてはならない。財務諸表からは、色々なことが見えてくる。4、5年分のデータの分析をすると、その会社の強みや抱えている問題点がある程度浮き彫りになってくる。会社について基本的な理解ができていないと、議論が空回りしてしまうので、財務諸表の分析は企業法務の仕事には不可欠だ。「私は文系だから」と思わず、文系だからこそ、財務諸表が読めると強みになる。これは、弁護士に限らずどんな職種にもいえることである。

また、この仕事をしていると、クライアントは様々な業界にわたっているため、色々な業界のことがわかる。クライアントには電機メーカーが多いが、同じ事務所の仕事としては、他にも銀行や保険、損保、流通などもある。マネージメントインタビューを通じて上場企業のトップから直接おもしろい話が聞ける。仕事自体が勉強になるし、一つの仕事が次の仕事に生きてくる。だが、とにかく体力が要る仕事だ。忙しい時期だと、夜電車では帰れない。12時なら早い方で、午前1時、2時になることもあるし、週の始めは、朝4時まで仕事をすることもある。体力がいるので誰にでもお奨めできるわけではないが、とても面白い仕事でもある。


苦労したこと

今思えば、仕事と子育てとの両立が一番大変だった。第一子は仕事を始めて4年経った頃に産まれた。企業法務弁護士の業界では、働いて4年ぐらい経つとアメリカに留学に行くが、私はちょうどその時に妊娠・出産したため、留学はしなかった。アメリカに留学することより子どもの優先順位が高かったからだ。語学(英語)にも仕事をする上で特段不自由は感じていなかったため、留学と子育ての両方を取るという道は選ばなかった。子どもが生まれると、約半年育児のため仕事は完全に休んだ。第二子の場合も同様である。産休・育休明け後もしばらくはフルには働けず、午後4時、5時には帰って、子供を迎えに行き、世話をした上で家で仕事をするという状態が2、3年続いた。今思うと、よくやったなと思う。

子どもの面倒は、隣に住んでいる配偶者の両親の強力なバックアップがなければ見られなかった。子育てを手伝ってもらえる人がいないため、早い時間に帰宅せざるを得ない女性弁護士も職場にいるが、子育て期間中は仕方がないことかもしれない。細々とでもいいから仕事は続けたほうがいいということで、翻訳にまわったり、重たい案件には入らないようにしたり、家でも出来る仕事を引き受けて仕事を続けているようだ。

ここは人によって考え方が分かれる所だ。子どもを産んで育てる時期と、弁護士として伸びる時期が重なっているので、仕事を優先し子どもを産まない、あるいは結婚をしないという人も、女性弁護士の中にはいる。私は、義理の両親の助けによって子供がいながら仕事を少しずつ増やしていくことができたので、うまく両立できた方だろう。お手伝いさんの力を借りたり、義父母や配偶者のサポートを得たりして、自分の稼働時間を確保していった。

女性が働くことに理解を示してくれ、かつそれに見合った行動を取れる男性は、生活をともにするレベルで見れば、現実にはそれほど多くないと思う。総論賛成各論反対が多い。結婚して、子どもを産み、育てることを射程範囲に置くと、単に理解があるだけではだめで、自分が仕事を続けていける環境を共に作っていける人でないと、すごく大変だ。その点で、私は理解と実行力のある配偶者に出会えたと思っている。

生来的に楽天的な性格であるためか、仕事の上で困ったり、つまずいたりしたことはない。少なくとも本人にはその自覚がない。過度に自分を責め立てたり、他人と比較して落ち込んだりすることはなかった。というより、色々やることが多くてそんな暇はなかった。今思うと、得な性格なのかなと思う。最初につまずいてしまうと、他のところでもつまずきがたくさんあるし、転んで起き上がれなくなる。一人前になるまで10年はかかると聞いて入った仕事だし、まあ、こんなものかなと思って、淡々と目の前にあることをひとつひとつ積み上げて行くしかなかったので、悩みもなかった。また、たまたま素晴らしい先輩達と巡り合い、その人たちの指導を受けることができ、順調に育ててもらった。


「外見は一番外側の中身」

職業によっても違うが、弁護士は信頼されるということが大事で、落ち着いた印象を与えなくてはいけない。私は初めてのクライアントとの会議の時には、必ず黒や、紺、グレーといった落ち着いた色調のスーツを着ていく。最初の印象で「信頼できる」と思われると、まったく仕事の進み方が違う。「この人大丈夫かな?」と思われてしまうと、その後100倍努力しないと認めてもらえない。弁護士業界に限らず、見た目は大事だ。見た目に気を配らないことで損するのは、ばかばかしい。「外見は一番外側の中身」と言った人がいるが、その通りだと思う。本当に大事なのは中身であり外見が全てではないが、人はまず外見を通して他者を識別、認識、判断しているのは無視し難い現実であるため、外見(身振りや話し方を含めて)は決して軽視してはならない部分だ。

弁護士として仕事をする際には、声の高さや調子にも気を遣っている。高い声は落ち着いて聞こえないから、信頼されない。文字にすれば同じ言葉であっても説得力が違う。弁護士になった当初「もっと低い声で話すように」と言われた。


弁護士を目指す学生へ
(司法試験の合格者が増えた分、就職がむずかしいというような噂も聞くが…)

それはそうだと思う。年間3000人の合格者を吸収するだけの法律事務所の数は現在おそらくない。合格者が増えても裁判官と検察官として採用される数は変わらないので、残るは弁護士となる。

だが、資格を持っているということは強い。一度子育てで辞めても、復帰しやすい。持ってない人と比べると、はるかに有利と今でも思っている。企業に入っても生かせるはずだし、一橋の法学部を出ているくらいであれば、ある程度上位での合格ということになると思う。他の法学部に比べると、ポジションはそれほど悪くないはず。弁護士の資格を持っていることは、資格を生かして弁護士になってもいいし、企業に入ってもいいし、選択肢が2倍になるということ。私は、今の時代であっても弁護士の資格を取得していたと思う。


学生へのメッセージ

「為せば成る」が私の信条。思っていないことは実現しない。実現したかったらそれを考え続けること。2年後、5年後、10年後、自分がどうなっていたいかを時々考えて、具体的なイメージを持つ。仕事をしてある程度成功したければ、そういうやり方がおすすめ。常に様々な選択を迫られる中で、具体的に自分がなりたい姿がないと、左に行っていいのか、右に行っていいのか分からなくなる。なんとなく決めてしまうと、本来自分がなりたかったはずの姿からすれば、本当はずっと右に行かなければいけなかったのに、左に行ってしまっていて、軌道修正せずにまた左を選んでしまっていた、というようなことになりかねない。2、3年経って気がつくと、自分のなりたかった姿からは遠い所にいたりする。そこからまた軌道修正するのは大変だ。

結婚したいか・したくないか、子どもを産みたいか・産みたくないか、仕事が大事か・家庭が大事か。色々自分で考えて判断し、ある程度方向性が決まったらその道に従って、進んで行けばいい。そうすれば選択の節目節目でこれはやったほうがいい、これは諦めたほうがいいというように、優先順位が分かってくるはず。自分のなりたい姿を念頭に置いておくと、何かの選択を迫られたり、何かで迷ったときに、より良い選択ができる。また、なりたい姿を具体的に持つことで、ともすれば怠けがちな自分のモチベーションを維持することができる。人間は怠惰だから、モチベーションがないと、努力をしたり、自分で直そうと気をつけたりできない。なりたい姿がわかっていると、三日坊主でもいいから「とにかくやってみよう」とか、一旦挫折しても「またチャレンジしよう」と思うし、何もやらないよりは、半歩でも一歩でもゴールに近づくことが出来る。そうして5年、10年、15年と経つと、そういうことを心がけていた人とそうでなかった人の間には大きな差が出てくる。ほんのちょっとのことだけれど、こういうことを心がけていたことで、今の私があるのかなと思う。

若い人たちには色々な可能性がある。色々とチャレンジしてください。「為せば成る」、「何事も無駄ではない」、そう思ってやってください。今やっていることは必ず何かに役立ちます。

石黒美幸さん

石黒さん、どうもありがとうございました!
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  1. 2008/09/18(木) 11:03:42|
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  3. | コメント:1
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  1. 2017/04/21(金) 22:05:55 |
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